食堂黒猫ブログ

沖縄県首里にありますメルボルンカフェ「食堂黒猫」のブログです。新メニューのこと、プロダクトのこと、日々の思いを綴っていきます。

むしろそこまでやった料理を届けたいっ!馬鹿みたいな事も、本気でやっちゃうんです!贅沢を極めた『ドリーミーパイ』!【後編】

 

こんにちは!沖縄県首里にあります、「食堂黒猫」です。

 

シェフズスペシャル、

回を増す毎にその作品スケールが増してしまい、

記事を前編・後編に分けて綴らせて頂いております!

 

さて、『ドリーミーパイ』が

どんな作品になっていったのか、

早速後編をお届けしていきます!

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火入れした食材がそのままの形でお皿に乗る事はほとんど無く、

そこから様々な手法で野菜は新たなカタチを成し、一皿を彩る大切なパーツへと昇華して行きます!

 

食材を部品のように組み立てできる

当店の立体的で独創的な料理。

 

それは、当店のシェフ サキが作品作りで

とても大切にしている部分なんです。

 

料理そのものの美しさを追求し、圧倒的な

存在感を持たせ、力のある作品にする事。

 

そして、お皿を目の前にしたお客様が「わぁぁっ!?」と驚き、

同時に、作品に対する興味を最大限に高められる為の技術を

日々探究し表現しています。

 

見た目だけでは無く、味のマッチング、

捻りを効かせた味の付け方、食感や質感、色、

その全てを徹底的に考え抜き、

試作や試行錯誤を重ね一つの作品に仕上げています。
(構想に3、4ヶ月。試作に1ヶ月かけて作品を作っています)

 

では、それぞれどんな秘密が隠されているのか!?

一緒に解明していきましょう‼︎

 

メイン食材は牛のステーキ肉!

 

牛全体のごくわずかしかとれない希少な部位の肩ロース。

サシがよく入り、甘み豊かでジューシー且つ、

柔らかさに富んだ貴重なお肉なんです。

 

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試作では、徹底的な調理温度の分析から始まります!

 

イメージする肉の厚みや大きさ、

部位によって、調理温度は変わります。

その最適な温度を探すのは、

アナログな作業の積み重ね以外他なりません。

 

仕入れた肉を、

検証用に分割し一つづつ真空したものを、

様々な温度と違った時間で低温調理します。

塩の量、オイルの量も全て 一つ一つ細かな記録を

付けデータを取る。

そして、実食し、イメージに近い味わいになる調理温度を

自分の舌と実験データから導き出します。

 

時に一つの肉に対し、10通り近くの検証をしたりもします。 

こういった作業が、作品の完成度を左右し、

仕上がりの安定感にも大きく影響するんです。

 

今日は出来て、明日は出来ない。ではダメなんです。

 

その為、試作の段階で、全てのパーツのレシピを徹底的に明確な数値で表せるまで、0,1g単位の数値まで突き詰めます。

 

それは、料理をしているというより、

むしろ数学・科学的で、

膨大な実験を繰り返するような感覚なんです。

 

沢山の壁にぶつかり、時に迷い苦しくなる。

しかし失敗をする度に確実に答えへと

一歩づつ近づいていく。

可能性を全て潰して、これ以上突き詰める箇所がない。。

そんなところまで来て、「これが答えなんだ」と知るんです。

 

初めての試みに対して、答えを見つける作業は、

いつだってこんな途方も無い事の繰り返しです。

 

こうして、3cm圧の牛ステーキ肉は、

ベルベットのような舌触りで、

肉本来の甘味とみずみずしさを

存分に感じられる仕上がりとなりました。

 

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パイとは言え、一般的な作り方とは大違い!

贅沢な食材を使っているのはもちろん、『料理の構造まで極めて贅沢』な一皿になっているんです!

 

パイと呼んでるだけで、

その構造は一般的な作り方とは掛け離れています。

まず、パイで箱型のパイケースを作ります。

(独自の二段階焼きで、

これ以上無い高さまでパイ生地が上がるように焼いてます。

もちろん泥くさい検証の賜物です。。)

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◇別でミルポア野菜をハーブと一緒に火入れして用意。

◇更に別で、炊いた押し麦を用意。

◇また、それらとは別でブランデーを

効かせたビーフグレイビーソースを作り。

◇そして又又別で低温調理し、

ご注文時に、グリルして仕上げる

牛ステーキをパイのケースに詰める!

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かけてる手間と時間はレストランのコース料理を仕込むのと、同じです。

 

(フレンチレストランでコースを

仕込んでいた時の仕事量に十分匹敵しています)

最後に一枚一枚素揚げした、

モロヘイヤとトレビス、

更に大根のシロップ漬けでパイに蓋をしています。

 

見た目に美しく、そして中がどうなっているのか分からない。

自分で見つける楽しさが期待を高めてくれます!

 

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ナイフを入れると、中から綺麗なステーキが、

ソースや野菜、雑穀と一緒に飛び出てくる♪

パイのコク深なバターの風味と、

クリーミーで優しい旨味を感じられるグレイビーに絡んだ、

甘いグリルステーキと煮込んだ野菜は、

やがて口の中で一つの味になります!

モロヘイヤの青香ばしさ、トレビスの甘苦い味、

角の取れた丸い味わいの大根のシロップ漬けが、

このパイ全体の優しい旨味攻撃に(笑)、

ふと我に返らせてくれるようなメリハリ役を勤めます。

 

 

主役のパイを支える副菜も、【一流の脇役】と呼べる作りになっています!

 

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蒸して、削って、合わせて、固めて、切る!

又最後に火入れして完成するロスティー!

 

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・紅芋、かぼちゃ、じゃがいもを、

食感が残るように蒸し、削って個別に用意。

・三種の野菜を型に綺麗なマーブルカラーになる様に

配色を見ながら敷き詰め、圧力をかけて一晩寝かし固めます。

・翌日寸法に合わせてカットしてできるのがこのロスティー。

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◇合わせているいは、歯応えを残して蒸した小松菜、

自家燻製しているチーズ。 

◇キラキラしたものは、

ガラムマサラ(インドのスパイスブレンド)を

効かせた自家製のトフィー。 

これを合わせて食べると、不思議と焦がしカレーポテトのような味に♪

 

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丸いフォルムが目を惹く、中身の検討がつかないこちらの正体は!?

 

写真の左下のパーツ。。又見えないんですねぇ♪こちらも中身が♪

 

正体は、噛みしめるほどに旨味をじわぁーっと感じる、タイムカラメライズド オニオンとキノコのリエットです!

 

(リエットはフランス料理で、

一般的に豚肉をほろっほろになるまで

コンフィしてペースト状に

仕立てた料理の事をいいます。

旨味の凝縮した一品 )

 

・旨味いっぱいの舞茸とヒラタケのソテー。

・カラメル状になるまで、長時間炒め、

タイムを効かせたキャラメルオニオン(野菜に甘味いっぱい)

・一晩かけて水で戻し、

リエットに合う柔らかさに炊いた大豆を砕いたもの

・炊いた、もちきび

・オーブンでじっくりコンフィしたガーリック

・パセリ

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これらを事前に仕込み、用意して、

混ぜ合わせて作っているのがこのキノコのリエットです。

素材の旨味と甘味を感じ、噛みしめるほどに複雑で、

味わい深いその秘密は、

仕込みの段階で最大限に味を引き出した、

これだけ多くの食材の集合体だからです。

 

そのリエットの上に乗っているものは。

林檎を黒糖で、ご注文時にハンドバーナーでブリュレ

(フランス語で「焦がした」の意味)にしたもの。

芳醇な甘味と優しい酸味に、

カラメル状の黒糖からの苦味を生かしたサラダが、

リエットの慈悲深い味を一層引き立てます。

 

 

黒いお皿に迷い無く、ピシリと伸びる黄色いソース。

まるで夜空に瞬く三日月のよう!

 

独自のトロピカルフルーツブレンドのピュレーに

カボチャのペーストとサワークリームを

合わせて作った異色のソース。

 

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濃厚さの中に、フルーツとサワークリームの酸味と、

カボチャの甘さが合わさる事で、

上品且つ爽やかな仕上げのこのソース。

全役者を引き立てる重要な役割りを果たします!

 

 

『ドリーミーパイ』は、

各パートで食材の旨味を至る角度から

優しく畳み掛けてくる展開を体験頂くのですが。

 

そこで、それぞれの『旨味』の優しさに無意識に慣れてくる頃。

このソースをお好みで合わせて食べると。。。

 

予想を裏切る味に、はっ!とさせられ、食べ手を新鮮な気持ちに引き戻してくれます。

 

もちろん、全体に寄り添える味でありながらも、

リフレッシュ効果を果たしてくれるから。

手塩にかけた、この料理全体を、

最後まで皆さんに飽きる事なく楽しんで頂けるよう。

その仕掛け作りも、最後まで手を抜きません!

 

膨大な手間と時間をかけ、ふんだんに食材を盛り込み、

作り込まれたこの料理。

 

 

そこまでして作った料理が存在するなら、

「私だったら食べてみたい」と純粋に思ったんです。

自分のお店でなければ、「非現実的料理だ!」

と言われてやらせてもらえないと思います。

「手間がかかりすぎている」とも言われるでしょう。

 

だから、『やらない・出来ない』にならなかったんです。

 

“お客様をこの料理で喜ばせるには、

どう仕込めば可能になるのか?”

 

(しかも、シェフ一人で。。汗。

仕込むのはこの料理だけでは無いのに。。)

そう言う事と向き合い、

『嘘みたいな料理を可能にする事』それが創作料理人である、

私の務めだと思っているんです。

 

 

失敗しないような、安全なラインの創作で、

お客様の『WOW!!』を掴む事は難しいでしょう。

そして挑戦には、いつもなんの保証も無く不安が付き物です。

 

料理人として、全てと向き合い、進撃に料理へ挑戦する。

それが食堂黒猫のシェフズスペシャルという舞台なんです。

 

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プロとして料理を続けて来て、15年。

下積み時代から、メモパッドを片手に、

先輩へ料理の質問をしない日はありませんでした。

その料理のメモは、膨大。 (今も昔も料理は英語です)

今、黒猫で取るメモ(検証の記録)の量は

過去最大量になっています。(検証動画も撮ります)

 

メルボルンでは、8年間で13件のレストランやカフェを、

渡り歩き料理に奮闘し成長をはかってきました。

 

今は食堂黒猫を活動拠点とし、

渡り歩いて来たその全ての経験を生かして、

料理を創作し続ける事で成長をはかっています。

 

61作品目の『ドリーミー パイ』 全体を通して、

贅沢を極めた料理となっています。

 

皆さんの、一年を締めくくるご褒美になれる料理として。

又、一年のスタートに気合いを入れてくれるような料理としても。

 

クリスマスも視野に入れ、秋冬の年末年始だからこそ、

ここまで贅沢な作品を作り、

届ける事に意味があると信じて完成させました。

 

とにかく、皆さまには楽しんで頂く事!!

それが、私達の本望です!

是非、楽しんでください!!

 

 

 

_____URL: 食堂黒猫 Black Cat Cafe 沖縄首里にある、「シェフの作る本格ディッシュ」とコーヒーの楽しめるカフェ  ________

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つきましては、事前予約を頂戴できると幸いです。

 

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